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1番ホールのティーグラウンド。後ろには次の組、横には同伴者。緊張の中で振ったドライバーは、右の林へ——。「朝イチはいつもこうなんだよな」。そう苦笑いした経験、ありませんか?
朝イチのミスを「緊張のせい」「まだ体が起きていないから仕方ない」で片づけていると、毎回同じことがくり返されます。でも実は、朝イチのミスの多くは、スタート前のたった10分で減らせる可能性があります。
この記事では、ラウンド前にできる準備運動のメニューと、やってしまいがちなNG、そして記事の後半では準備運動の「本当の目的」についてお話しします。ここを知ると、準備運動の意味がまったく違って見えてくるはずです。
なぜ朝イチはうまく打てないのか
朝イチのショットが乱れやすい理由は、いくつかあると言われています。
- 体が温まっていない:筋肉や関節がまだ硬く、いつもの回転ができません
- 車での移動で体が固まっている:長時間座っていると、股関節や腰まわりが縮こまりがちです
- 緊張で呼吸が浅くなっている:人に見られている場面では、力みやすくなります
- いきなり一番難しいクラブを振る:多くのホールで、最初のショットはドライバーです
つまり、朝イチのティーショットは、一番準備ができていない状態で、一番難しいクラブを、一番緊張する場面で振るという、実はとても条件の悪いショットなんです。だからこそ、準備で少しでも条件を整える意味があります。
スタート前10分の準備運動メニュー

特別な道具はいりません。クラブ1本と、少しのスペースがあればできます。
1. 深呼吸(1分)
まずは鼻から大きく吸って、口からゆっくり長く吐く。これを数回くり返します。気持ちを落ち着けるだけでなく、体の力みを抜く準備にもなります。
2. 肩まわしと腕のストレッチ(2分)
両肩を前から後ろへ大きく回します。次に、片腕を胸の前で反対の腕で抱えるようにして、肩の後ろ側を伸ばします。スイングの大きさを決める肩まわりを、ゆっくりほぐしましょう。
3. クラブを使った体の回転(2分)
クラブを肩の後ろにかつぐように持ち、足を肩幅に開いて、上半身をゆっくり左右にひねります。反動をつけず、じわっと回すのがポイントです。
4. 股関節と太もものストレッチ(2分)
足を大きく開いて腰を落とし、片方のひざを伸ばして、太ももの内側を伸ばします。左右交互に行いましょう。車の移動で固まった下半身がほぐれます。
5. 素振り(3分)
最後に素振りです。いきなりフルスイングせず、腰から腰までの小さな振り幅から始めて、少しずつ大きくしていきます。最後の数回は、実際のティーショットと同じテンポで振ってみましょう。
準備運動でやってしまいがちなNG

いきなり反動をつけて伸ばす
勢いをつけて体をひねったり、ぐいぐい伸ばしたりすると、かえって体を痛めてしまうことがあります。準備運動は「ゆっくり・じわっと」が基本です。
素振りでいきなりフルスイング
「ウォーミングアップ」のつもりで、最初から全力で振る人もいますが、これは逆効果になりがちです。体が温まる前のフルスイングは、ケガの原因にもなります。
練習グリーンで長くパットだけしている
パットの練習ももちろん大切ですが、体を動かさないまま1番ホールに向かうと、体は固まったままです。パット練習の前か後に、体を動かす時間を必ずつくりましょう。
ギリギリに到着して何もしない
一番避けたいのがこれです。駐車場から急いでティーグラウンドに向かい、息が上がったまま打つ……。朝イチのミスの原因を、自分からつくってしまっているようなものです。
ここまで、準備運動のやり方とNGをお話ししました。でも実は、準備運動のいちばん大事な役割は、体をほぐすことではありません。
準備運動の本当の目的は「いつもの自分に戻ること」
ゴルフで一番難しいのは、練習場でできていることを、コースで再現することだと言われます。練習場ではいい球が出るのに、コースに出ると別人のようになってしまう。多くのゴルファーが抱える悩みです。
その原因のひとつは、コースという特別な場所で、体も心も「いつもと違う状態」になってしまうことです。緊張、固まった体、焦り。その状態で振っても、いつものスイングにはなりません。
スタート前の準備運動は、体を温めるためだけのものではありません。いつもの呼吸、いつもの体の動き、いつものテンポを取り戻して、「練習場の自分」に戻るための儀式なんです。
だから、準備運動のメニューは、毎回同じでいい。むしろ、同じ順番で、同じテンポでやることが大切です。いつもの流れをくり返すことで、心と体が「いつもの状態」を思い出してくれます。朝イチのショットは、その儀式の延長線上にあるんです。
1番ホールのティーショットを成功させる考え方
準備運動をしっかりしても、1番ホールの緊張がなくなるわけではありません。そこで、1番ホールだけの「特別ルール」を決めておくのもおすすめです。
クラブを1つ短くする
1番ホールだけは、ドライバーではなくフェアウェイウッドやユーティリティでティーショットを打つのも立派な作戦です。多少飛距離は落ちても、フェアウェイに置けば、2打目以降を落ち着いて打てます。朝イチのOBで2打以上失うより、ずっと損が少なくなります。
7割の力で振る
緊張していると、体は勝手に力みます。だからこそ、最初から「7割くらいの力で」と決めておくと、実際にはちょうどいい力加減になることが多いです。
打つ前のルーティンを決めておく
ボールの後ろから目標を確認する、素振りを2回する、深呼吸をひとつしてから構える……。毎回同じ手順で打つと、緊張している場面でも、体がいつもの動きを思い出しやすくなります。これも、準備運動と同じ「いつもの自分に戻る」ための工夫です。
1番ホールの目標は、スーパーショットではなく、「次のショットが打てる場所にボールを置くこと」。そう考えるだけで、肩の力が少し抜けるはずです。
到着時間の目安
準備運動の時間を確保するためには、スタートの40分〜1時間前にはゴルフ場に到着しておくと安心です。受付、着替え、トイレ、準備運動、パット練習……と、意外とやることは多いものです。
また、到着したらまずその日のピンの位置やグリーンの速さを練習グリーンで確かめておくと、1ホール目から落ち着いてプレーできます。冬場や早朝のスタートは、体が特に固まりやすいので、準備運動の時間をいつもより少し長めにとると安心です。
時間に余裕があると、それだけで気持ちが落ち着きます。「ちょっと早すぎたかな」くらいが、ちょうどいいですよ。
準備運動とあわせて、自宅でもスイングを整える
「いつもの自分に戻る」ためには、ふだんから同じ動きを体に覚えさせておくことも大切です。ラウンドのない日も、自宅で素振りやスイングの確認をしておくと、コースで体がいつもの動きを思い出しやすくなります。
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まとめ:朝イチのショットは、準備で決まる
- 朝イチは、体も心も一番準備ができていない状態
- 深呼吸・肩・体の回転・股関節・素振りの10分メニュー
- 反動をつけず、ゆっくりじわっとほぐす
- 準備運動の本当の目的は「いつもの自分に戻ること」
- スタートの40分〜1時間前には到着を
準備運動は、上手な人ほど丁寧にやっていると言われます。それは、体をほぐすためだけでなく、その日の自分の状態を確かめるためでもあるからです。今日は体が重いのか、軽いのか。それを知ってからラウンドに入るだけで、無理のない判断がしやすくなります。
ゴルフは、1番ホールのティーショットから始まるのではなく、その前の10分から始まっています。次のラウンドでは、いつもより少し早く家を出て、いつもの自分に戻る時間をつくってみてください。朝イチの1打が、きっと変わってきますよ。

