スライスが直らない、アイアンの方向が毎回ちがう、レッスン動画を見てスイングを直してもうまくいかない——。そんなとき、多くの人はスイングの形ばかりを気にしてしまいます。でも、スイングを直す前に見直してほしいのがグリップ(握り方)です。
グリップは、体とクラブをつなぐ唯一の接点です。ここがずれていると、どんなにきれいなスイングをしても、ボールはまっすぐ飛びません。この記事では、正しいグリップの握り方と、意外と知られていない「握る強さ」の目安、グリップを安定させる練習法を紹介します。
なぜグリップがそんなに大切なのか
ボールの曲がりは、インパクトの瞬間にフェースがどこを向いているかで大きく決まります。そして、そのフェースの向きを左右しているのがグリップです。
- グリップが弱い(左手が開きすぎ):インパクトでフェースが開きやすく、スライスの原因に
- グリップが強すぎる(左手がかぶりすぎ):フェースが閉じやすく、引っかけやフックの原因に
- 毎回握り方が違う:フェースの向きが毎回変わり、方向が安定しない
スイングの形をどれだけ練習しても、入口のグリップがずれていれば、結果はずれてしまいます。ミスの原因がわからないときほど、まずグリップからなのです。
正しいグリップの握り方3ステップ

1. 左手は「指」で握る
クラブを左手の指の付け根あたりに斜めに当てて握ります。手のひらの真ん中で握ると、手首が使いにくくなり、ヘッドが走りません。握ったとき、上から見て左手のこぶしが2〜3個見えるのが、初心者におすすめの目安です。
2. 右手は左手の親指を包むように
右手は、左手の親指を手のひらのくぼみで包むように重ねます。このとき、右手の親指と人差し指でできる「V字」が、右肩あたりを指しているのが目安です。
3. 握り方の種類は「しっくりくるもの」で
右手の小指を左手の人差し指の上に乗せる「オーバーラッピング」、絡める「インターロッキング」、10本の指で握る「テンフィンガー」などがあります。どれが正解ということはなく、手の大きさや握力に合わせて、いちばん安定するものを選びましょう。手が小さい方や女性には、インターロッキングやテンフィンガーが合うことも多いです。
見落としがちな「握る強さ」の目安
グリップでいちばん見落とされやすいのが、握る強さです。ミスを恐れるほど、人はクラブを強く握りしめてしまいます。
強く握りすぎると、腕や肩に力が入り、スイングがぎこちなくなります。手首がかたまってヘッドが走らず、飛距離も落ちてしまいます。目安としてよく言われるのは、10段階で3〜4くらいの力。小鳥を手で包むように、逃げないけれどつぶさない強さ、とたとえられることもあります。
ゆるく握ると「すっぽ抜けそう」と不安になるかもしれませんが、実際には、スイング中は遠心力で自然と握る力が強まるため、構えた時点ではやわらかく握っていて大丈夫です。
グリップを安定させる練習法

毎回、握る手順を同じにする
プロは、構えるたびに同じ手順でグリップを作ります。「左手を当てる → こぶしを確認 → 右手を重ねる → Vの向きを確認」と、自分なりの手順を決めて、毎回くり返しましょう。手順が決まれば、握り方のばらつきがなくなります。
テレビを見ながら握る練習
グリップは、ボールを打たなくても練習できます。家でクラブを持ち、握っては離す、を何十回もくり返すだけで、手が正しい形を覚えていきます。クラブがなければ、グリップの練習用器具を使うのも方法です。
片手打ちで握る強さを確かめる
練習場で、短いアイアンを左手だけで持ち、小さく振ってボールを打ってみます。力を入れすぎるとうまく当たらないことが実感でき、ちょうどいい強さがわかります。
グリップを変えると「最初は違和感」が当たり前
グリップを直すと、最初は必ず違和感があります。今までの握り方に慣れているので、正しい握り方のほうが「おかしい」と感じるのです。そのため、少し打ってみてミスが出ると、すぐ元に戻してしまう人が少なくありません。
でも、ここが上達の分かれ道です。グリップの違和感は、たいてい1〜2週間で消えます。その間はスコアより、握り方を体に覚えさせることを優先しましょう。スイングの形を変えるのは何か月もかかりますが、グリップは短期間で変えられる。いちばん少ない労力で、いちばん大きく結果が変わるのがグリップなのです。
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グリップのずれは「ボールの曲がり方」でわかる
自分のグリップが合っているかどうかは、ボールの飛び方で確認できます。右に曲がる球が多いならグリップが弱い(左手が開きすぎ)可能性、左に引っかける球が多いならグリップが強すぎる可能性があります。左手のこぶしの見える数を1つ増やしたり減らしたりして、球筋の変化を確かめてみましょう。小さな調整で、ボールの曲がりが変わるのを実感できるはずです。
また、ラウンドの後半になるとグリップが変わってしまう人も多いです。疲れてくると握る力が強くなり、無意識にかぶせて握るようになりがち。後半のホールほど、一度グリップを確認してから構える習慣をつけておくと、スコアの崩れを防げます。
よくある質問
Q. グローブはつけたほうがいい?
初心者には、左手(右利きの場合)にグローブをつけるのがおすすめです。手のひらとグリップの間がすべりにくくなり、軽い力でもクラブが安定します。サイズが大きすぎるとかえってずれるので、ぴったりのものを選びましょう。
Q. グリップ(ゴム部分)の交換は必要?
グリップのゴムは、使っているうちにすり減ったり硬くなったりして、すべりやすくなります。すべると無意識に強く握ってしまうので、表面がツルツルしてきたら交換を考えるタイミングです。
Q. パターも同じ握り方でいい?
パターは、手首を使わずに肩で振るのが基本なので、ほかのクラブとは違う握り方をする人も多いです。手のひらで包むように握る方法がよく使われます。パターについては、別の記事でくわしく紹介しています。
Q. 手が小さくてクラブがすべります。
手の大きさに対してグリップが太すぎたり細すぎたりすると、安定して握れません。ショップで細めのグリップに交換することもできます。また、インターロッキングで握ると、手が小さい方でも一体感が出やすくなります。
Q. グリップを直したら飛距離が落ちました。
握り方を変えた直後は、手と体の動きがまだ新しいグリップに慣れていないため、一時的に飛距離が落ちることがあります。方向が安定してきたら、飛距離も少しずつ戻ってきます。焦らずに、まずは方向性を優先しましょう。
まとめ:スイングを直す前に、まずグリップを
- グリップはフェースの向きを決め、球の曲がりに直結する
- 左手は指で握り、こぶし2〜3個が見えるのが目安
- 握る強さは10段階で3〜4。強く握りすぎない
- 握る手順を決めて、毎回同じグリップを作る
- 違和感は1〜2週間で消える。すぐに元に戻さない
次の練習では、ボールを打つ前に、グリップを作る手順を5回くり返してみてください。その数分が、どんなレッスンよりも効くことがあります。

